ベルナール・ビュッフェ(BERNARD BUFFET)
ベルナール・ビュッフェ(1928-1999)はフランス生まれ。
黒の描線を大胆に配した独特の表現で孤独や虚無感、喪失感を描き出し、若くして第二次大戦後の芸術界を席巻した20世紀を代表する画家の一人です。
ビュッフェは戦渦や世界恐慌といった激動の時代に幼少期を過ごし、16歳のときに唯一の理解者であった母親を亡くしています。
こうした苦悩や悲哀といった背景はビュッフェの作品において独特の「暗さ」で表現されています。
風景画で描かれる寂寥感、人物画で描かれる人々の物憂げな表情は、第2次大戦後の荒廃した社会において世界中で大きな共感を生みました。
20代の若さで早くも評価を確立したビュッフェは、1999年に自ら人生の幕を下ろすまで時代を代表するスター画家として活躍し、数多くの名作を世に遺しました。
ビュッフェは油彩画だけでなく数多くの作品を版画で制作しています。
ビュッフェは主に銅版画(銅板を用いた技法)、リトグラフ(石板を用いた技法)を用いて版画を制作し、版画は晩年まで自らの芸術世界を表現するために欠かせない重要な手段であり続けました。
筆で描く絵画にはない、版画の独特の質感や手作業による工程に深い愛情を感じたビュッフェは「版画家」として、生涯で数多くの版画作品を世に送り出すことになります。