ジョアン・ミロ(JOAN MIRO)
ジョアン・ミロ(1893-1983)はスペインのカタルーニャ州バルセロナ生まれ。パブロ・ピカソ(1881-1973)、サルバドール・ダリ(1904-1989)と共に20世紀スペインの三大巨匠と称されています。
90歳で亡くなるまでに絵画、版画、陶芸、彫刻、壁画といった芸術の様々な分野で創造性あふれる数々の作品を生み出しました。
絵画の常識や概念を改め、芸術以外にも影響を与えた思想活動『シュルレアリスム』運動への参加や、原色を多用しながらモチーフを激しく変形(デフォルマシオン)させる独自の表現で20世紀を代表する巨匠としての地位を確固たるものにしました。
日本でも1966年に国立近代美術館での当時世界最大規模の大回顧展の開催や、1970年大阪万博での横12メートルに及ぶ大作陶板壁画『無垢の笑い』の来日制作、出品といった大きなプロジェクトを手掛けています。現在の日本でもミロの作品は高い人気を誇ります。
ミロは自らの芸術世界を表現するために様々な表現方法に取り組みました。
なかでも膨大な点数の作品を生み出した版画は、ミロが自らの芸術世界を表現するための極めて重要な手段でした。
ミロは主に銅版画(銅板を用いた技法)、リトグラフ(石板を用いた技法)を用いて版画を制作しました。
特に1948年にパリのラクリエール工房(銅版画)、ムルロ工房(リトグラフ)と仕事をするようになると、以降は版画制作に没頭します。
筆で描く絵画にはない、版画の独特の質感や手作業による工程に深い愛情を感じたミロは「版画家」として、それぞれの版画工房のよき職人・摺師との協働作業で最晩年までに数多くの版画作品を世に送り出すことになります。